先日の強風で落ちてしまった、いわゆるワケアリ品のリンゴを箱で買った。
完熟前に落ちてしまったものなので、農家さんにしてみたら不本意な出来、しかも傷がある、それを、ほぼ正価で売りにだした人がいる。
その彼女自身は一切のマージンをとらず、ただ農家さんを応援するために、今後も美味しい果物をつくり続けてもらうために一生懸命動いている。
作物は自然がくれるもの、機械製品ではない、それを理解するきっかけにして欲しい。義援金にリンゴが付いてくる、そう思って買って欲しい、と。
私は最初、「えー、落ちたものなのに安くしないんだ。強気だな」と、驚いたが、なにしろチンパンジー並に果物が大好きな人間なので、少しでも応援したいと思って、9キロを買った。
傷んでるところは切り落とせば問題ないや、と考えていた。
届いたリンゴのほとんどは、ちゃんと美味しい。
傷もたいしたことない。
でも、中には外見は問題ナシなのに切ってみたら、食べられないくらい痛んでる物がいくつか入っていた。
今日もお昼に食べようと思って会社に持って行ったものが、割ってみたら、中がまっ黒だった。1個まるまる食べられなかった。
さて、そこで私はどう感じたか。
面白いことに、なぜか清々しい気持ちになったのだ。
うっすらと笑いまででてくるくらい。
これが安く買ったのなら「やっぱりね。ま、安く買ったし、しょうがないか」と思うところ。
いたって、普通。
私は正価で買った
のに、食べられない。
うまく言えないけど、
あぁ、もうなんか、楽しいなー、嬉しいなー、
って感じ。
施しをした、なんていう気分ではない。
あ
こんなんかな?
久しぶりに、田舎のおばあちゃん家に行ったら、おばあちゃんが一生懸命あれやこれや、慣れないハンバーグとか自分の好きな洋食を作ってくれた。
その皿のはじっこに、もし、髪の毛みたいのが1本入ってたら、そしたら、ばれないようにあわててとらない?
そして、「美味しいよ!」って言わない?
おばあちゃんの笑顔が見たいから。
そして、
「もー、ホントしょうがないなぁ、ばーちゃんはぁ」って、帰りの飛行機の中で思い出してほっこりと笑っちゃう、そんな感じ。
正価で売ることに決めた彼女は、天才だ。
彼女は、会ったこともない農家さんとの繋がりも一緒に箱に詰めてくれた。
この世は愛でまわってるんだな~、と感じた昼でした。
では